Google広告をこれから始める方、あるいは運用を任された方にとって、最初にぶつかる壁が「どうやって自分の広告が表示されているのか?」という仕組みの部分ではないでしょうか。
管理画面でキーワードを登録し、広告文を作り、入札単価を決める。作業としてはこれだけですが、裏側では非常に高度で、かつ公平なシステムが動いています。
この「裏側の仕組み」を知っているかどうかで、無駄な予算を使わずに成果を出せるかどうかが決まると言っても過言ではありません。
今回は、Google広告がユーザーの目に触れるまでの「オークションの仕組み」について、専門用語をできるだけ噛み砕き、イメージしやすい例え話を用いて解説していきます。
Google広告は「一瞬のオークション」で決まる
私たちがGoogleで何かを検索したとき、検索結果の上部には「スポンサー」と書かれた広告が表示されます。
あの広告枠は、固定された看板のようなものではありません。実は、検索が行われるたびに、その一瞬(0.1秒未満)の間に、激しい「オークション」が行われているのです。
このオークションで勝ち抜いた広告だけが、ユーザーの目の前に表示される権利を獲得します。
では、このオークションは「お金をたくさん払った人が勝つ」単純なマネーゲームなのでしょうか?
答えは「NO」です。
Googleの理念は「ユーザーにとって有益な情報を届けること」です。いくら大金を積んでも、ユーザーが求めている答えとかけ離れた広告ばかり表示されては、Googleを使う人が減ってしまいます。
そのためGoogleは、「お金(入札単価)」と「質(広告の品質)」の両方を厳正に審査して、表示する広告を決めています。
広告表示の流れ:5つのステップ

まずは全体像を把握しましょう。ユーザーが検索してから広告が出るまで、以下の5つのステップが瞬時に行われています。
- ユーザーが検索する(検索クエリの発生)
- Googleが広告をピックアップする(候補の選定)
- 足切りチェックが行われる(要件の確認)
- オークションランクが決まる(順位決定)
- 実際のクリック単価が決まる(コスト確定)
この流れを一つずつ、詳しく見ていきましょう。
1. ユーザーが検索する(検索クエリの発生)
すべてはユーザーの検索から始まります。
例えば、あるユーザーが「大阪 おすすめ ジム」と検索したとします。このときユーザーが打ち込んだ言葉を「検索クエリ」と呼びます。
この瞬間、Googleのシステムは「おっと、このユーザーは大阪のジムを探しているな。これに関連する広告を出したい企業はどこだ?」と、広告主(あなた)が登録している「キーワード」との照合を開始します。
2. Googleが広告をピックアップする(候補の選定)
次にGoogleは、膨大な数の広告主の中から、その検索語句に対して「広告を出したい」と手を挙げている(キーワード登録している)アカウントをすべて探し出します。
「大阪 ジム」というキーワードを登録しているA社、B社、C社…といった候補者が一斉に集められるイメージです。
3. 足切りチェックが行われる(要件の確認)
候補者が集まりましたが、全員がオークションに参加できるわけではありません。ここで不適切な広告は足切り(除外)されます。
ポリシー違反をしている広告 ターゲット地域が異なる広告(北海道のユーザーに沖縄のジムを出しても意味がないため) 予算切れのアカウント
これらを除外し、残った精鋭たちだけでオークションが開始されます。
4. オークションランクが決まる(順位決定)
ここが最も重要なパートです。 残った広告主の中で、誰の広告を一番上に表示するか(あるいは表示させないか)を決定します。
この順位を決める指標を【広告ランク】と呼びます。
広告ランクが高い順に、掲載順位1位、2位、3位…と席が決まっていきます。
広告ランクの計算式

この計算式だけは、絶対に覚えておいてください。Google広告運用の核となる部分です。
広告ランク = 入札単価 × 品質スコア
この掛け算で決まります。 ※実際にはさらに細かい要素(広告表示オプションなど)も加味されますが、基礎としてはこの2つがメインです。
入札単価:1クリックあたり、最大いくらまで払えるか(企業の資金力・本気度) 品質スコア:その広告はユーザーにとって有益か(広告の質・関連性)
つまり、資金力が低くても、品質スコアが高ければ、大企業に勝てる可能性があるのです。
例え:映画のオーディション

この仕組みを「映画の主役を決めるオーディション」に例えてみましょう。
監督(Google):映画の主役を探している 観客(ユーザー):「感動できるアクション映画」を見たいと思っている 俳優(広告主):主役になりたい
このとき、主役(広告表示)を勝ち取るにはどうすればよいでしょうか?
パターンA:大御所俳優(資金力あり) 演技力はいまいちで、観客のニーズ(アクション)とも合っていないが、「出演料はいらない、むしろ制作費を100万円寄付するから出してくれ」と言っている。
パターンB:実力派の新人俳優(資金力なし) お金は10万円しか出せないが、演技力は抜群で、観客が求めているアクションも完璧にこなせる。
Googleという監督は、どちらを主役に選ぶでしょうか?
もしGoogleが「お金」しか見ていなければ、パターンAの大御所俳優が選ばれます。しかし、そんな映画を見せられた観客(ユーザー)はガッカリして、もう映画館に来なくなるでしょう。
だからGoogleは、パターンBの「実力派の新人俳優」を選びます。 これが「品質スコア」が「入札単価」を凌駕する瞬間です。
5. 実際のクリック単価が決まる(コスト確定)

無事にオークションに勝ち、広告が表示されました。そしてユーザーが広告をクリックしました。 この時、実際にあなたがGoogleに支払う金額(クリック単価)はいくらになるでしょうか?
実は、あなたが設定した「入札単価(上限)」がそのまま請求されるわけではありません。
Google広告では「セカンドプライスオークション」に近い形式を採用しており、基本的には【順位が一つ下の競合他社に勝てるギリギリの金額】が請求されます。
計算式をざっくり表すと以下のようになります。
実際のクリック単価 = (自社より一つ下の広告ランク ÷ 自社の品質スコア) + 1円
少しややこしいですが、重要なのは【品質スコアが高ければ、実際の支払い金額(クリック単価)は安くなる】という事実です。
品質スコアが高いと、
・より高い位置に広告が出せる(表示回数アップ)
・より安い金額でクリックを獲得できる(コストダウン)
という、ダブルのメリットがあるのです。だからこそ、私たち運用者は単にお金を積むのではなく、広告の質を磨くことに全力を注ぐ必要があります。
品質スコアを決定する3つの要素

では、その重要な「品質スコア」はどうやって決まるのでしょうか? Googleは主に以下の3つの要素を見ています。
1. 推定クリック率
広告が表示されたときに、どれくらいの確率でクリックされそうか?という予測値です。過去の実績などが考慮されます。「魅力的な広告文かどうか」が問われます。
2. 広告の関連性
ユーザーが検索したキーワードと、広告文の内容がマッチしているか? 「大阪 ジム」と検索しているのに、「東京のカフェ」の広告が出ても関連性がありません。検索意図と広告文の一致度が重要です。
3. ランディングページの利便性
広告をクリックした先のページ(HPやLP)は使いやすいか? 内容は検索キーワードと合っているか? スマホで見やすいか?読み込み速度は遅くないか? クリックした後の体験までGoogleは評価しています。
これら3つを高めることが、結果としてSEO(検索エンジン最適化)の考え方ともリンクし、Webマーケティング全体の底上げにつながります。
仕組みを理解した上で、次にすべきこと
ここまでで、Google広告が表示されるまでの裏側の流れをご理解いただけたでしょうか。
ユーザーが検索する ↓
オークションが始まる ↓
入札単価と品質スコアで勝負する(広告ランク) ↓
品質が高ければ、安く上位に表示できる
このメカニズムがあるからこそ、予算が限られている中小企業や個人でも、知恵と工夫次第で大手に勝つチャンスがあるのです。
さて、仕組みがわかったところで、次はいよいよ実際に広告を入稿するための準備に入ります。
しかし、いきなり管理画面を触り始めてはいけません。 Google広告で成果を出すためには、家を建てるときと同じように「設計図」が必要です。
Google広告では、この設計図のことを【アカウント構造】と呼びます。
このアカウント構造が整理されていないと、どんなに良い広告文を作っても、Googleに「関連性が低い」と判断され、品質スコアが下がってしまいます。
次の記事では、Google広告のアカウント構造について、学校の「クラス」や「生徒」に例えて、誰でも直感的に理解できるように解説します。
正しい箱を用意して、その中に適切な言葉を入れていく。 そのパズルを完成させるための第一歩を踏み出しましょう。


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